【ライブレポート】AliAが前代未聞『100円ライブ』で示した、Zeppツアー成功への道標

ライブレポート

2018年に結成した男女6人組ハイブリッドロックバンド・AliA(アリア)が、1stフルアルバム『Me』の12月22日リリースを記念し、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて前代未聞の『100円ライブ』を開催した。

今回の『AliA100円ライブ』は、ストリングスチームの面々を迎えて行われることが公演3日前に緊急告知されており、良質な音響設備を備えたコンサートホールでのライブ開催を決定した意図は明確である。

AliAを昔から応援しているファンやアコースティックライブ配信(Instagram、TikTok等)でAliAの存在を知り好きになった人、知り合いに勧められて興味を持った人。渋谷に所在を置き、最大キャパ約2000人を誇る大規模コンサートホール・LINE CUBE SHIBUYAには、趣味も服装も年代もバラバラな大勢の人々が訪れた。

日曜日の昼下がり、『100円ライブ』が行われるここLINE CUBE SHIBUYAに集結したバラバラな我々に共通する目的はただ一つ。

「AliAの音を生で味わいたい、味わってみたい」

これが全てだ。AliAのライブを楽しむのに、これ以上の衝動は必要ない。

前代未聞『AliA100円ライブ』にかける想い

自らを”6人の主人公”と謳う各メンバーが強い意志を持ち、コロナによる向かい風を真正面から受けながらも明確な行き先を目指して突き進んできたAliAは、今回の『100円ライブ』にも並々ならぬ想いをかけて臨んでいる。

「来年2月のZeppツアーを絶対に成功させたい」という想いから企画され、入念に準備されてきたライブではあるけれど、その根底には「より多くの人に、AliAの音楽を生で体感してもらいたい。」「一度でいいからAliAのライブを体感して、ライブの楽しさを知ってほしい。」そんな切実な想いで溢れている。

AYAME(Vo.)は後のMCで「”AliAと共に生きたい” そう感じてくれたら嬉しいです。」と語っていたのだけれど、その真摯な想いはホール全体に響き渡るチームAliAの洗練された生音や、AYAME(Vo)の真っ直ぐで訴求力のある言葉一つ一つを通じて、オーディエンス全員の心へと確かに届いていた。

今回AliAが敢行した『100円ライブ』は、メンバーとファンの心の距離をグッと近づけるきっかけとなったのではないか。

想いを乗せてAliAが届ける、全身全霊のアンサンブル

視界良好で広々としたLINE CUBE SHIBUYAのホール全体が暗転し、ステージに佇む大スクリーンに映し出されたのは、深い森の中で夜空を眺めているような視点で描かれたアニメーション風景。同時にストリングスチーム総勢8名の姿もステージ上に現れ、スクリーンに映し出された景色と共にステージを彩る幻想的な照明やクラシカルなBGMが、ホール全体をロマンチックな雰囲気に染め上げていく。ストリングスチームが美しい音色を奏でる中、精悍な面持ちで本日の主役・AliAのメンバーが次々と登場。ドレスコードを身に纏ったSEIYA(Ba)やTKT(Key)、ラフなシャツを着たEREN(Gt)やBOB(Dr)など、その装いは様々だ。各々がポジションを確かめ、AYAMEの透き通る歌声で《初めて君に出会った 思い出の場所で今日もまた》と印象的にライブの1曲目を飾ったのは『100年に一度のこの夜に』。満天の星空を彷彿とさせるスクリーン映像や一筋の流れ星が横切っていく演出が、楽曲の世界観を形作っていく。ストリングスチームとRINA(Vn)のコラボレーションにより厚みの増した音色は、”100年に一度の夜”というロマンティックな情景を確かに描き出していた。

AYAME(Vo)が「ハイブリッドロックバンド、AliAです!よろしく!」と声を荒げ披露した『ノスタルジア』では、静寂の隙間を縫うように切り込まれるBOBのドラミング、ホールの隅々まで響き渡るストリングスが縦横無尽に駆けていた。結束力に満ち溢れたソリッドなアンサンブルからは、”6人の主人公”一人ひとりが胸に宿す確固たる信念が感じられる。続いてNewアルバム『Me』に収録される新曲『ケセラセラ』をカラフルな照明演出をバックに披露し、ポップネス溢れる音像の『ユートピア』では「タオル回して!タオル持ってない人は拳を掲げてください!自由に楽しみましょう!」と煽るAYAMEの掛け声をきっかけに、オーディエンスはサビの盛り上がりに合わせてタオルや拳を自由に振り回す。メンバーとオーディエンスの心の距離もグッと縮まったところで、ストリングスチームが一度ステージから撤退。ステージ中央に椅子を並べ、メンバー全員が寄り集まるアコースティック形態へと変化させていく。どうやら、メンバー曰く「普段行っているアコースティック配信ライブの空気感を生で味わってほしい」という想いで組みこまれた演目のようだ。「結成当時は中々お客さんが全然集められなくて、2〜3人くらいしか居なくて。それでロス(ロサンゼルス)へ修行をしに行ったんですね。その時に作った、AliAにとっての思い出の曲です。」と語り、当時を振り返りながら披露したのは『SLIDE SUNSET』。彼女たちが海外のライブで経験した想いやあの日見た夕暮れの景色を、音が最も豊かに響き合うアコースティック形式でオーディエンスと共有していく。一般的なAliAのサウンドイメージは、ストリングスが加わることによる攻撃的で厚みのあるバンドサウンドだが、こうしたアコースティックな演奏でもしっかりと映える楽曲があるのもAliAの強みだ。ストリングスチームを迎え、再びバンド形態に戻るとNewアルバム『Me』収録のバラード曲『翼が生えたなら』を披露。ステージ中央に立つAYAMEにスポットライトが当てられる形で、バラードらしく儚げな歌声をホールの隅々まで轟かせた。

その後白いスモークが焚かれたステージ上でEREN、SEIYA、TKT、BOB、RINAの5名の演奏が激しくぶつかり合うボーカルレスのアンサンブルを披露。白熱のインストゥルメンタルセッションを終えると、AYAMEの掛け声から『impulse』をドロップ。疾走感溢れるストリングスと躍動するリズム隊が犇めき合う中、《僕は僕だ》と何度も激しく吠えるAYAMEの歌声は臨界点を突破。その気迫に呼応するかのように、オーディエンスはステージに届きそうな勢いで手を頭上高く振りかざし続け、ホール全体のボルテージは最高潮に達した。言葉の力を大いに信じるボーカル・AYAMEによって発せられる魂の叫びには、他バンドの女性ボーカリストには類を見ない圧倒的な訴求力が秘められている。コロナの向かい風を真正面から受けた経験が血肉となり、その類まれな歌唱表現を実現しているのかもしれない。続く『eye』ではステージ全体が真紅に染まる演出がクールにキマり、BOBのドラムは今日イチのダイナミズムを誇示していた。ステージのカラーが落ち着きを取り戻したところで、Newアルバム『Me』の収録曲『あかり』を、ホール全体を優しく包み込むように歌い上げていく。その後「皆んな声は出せないけど、心の中で一緒に歌ってくれますか…?」というAYAMEの言葉を合図に、白い光がステージ上を煌びやかに照らす中で代表曲『かくれんぼ』を披露。歌い出しの《いっせーので鳴り響いた スタートの合図》というフレーズを原動力に、彼女たちが今日この『AliA100円ライブ』を新たなスタート地点として未開の大海原へ漕ぎ出していくような、輝かしい決意を感じた。オーディエンスの心の中で燃ゆる何かがしっかりと共鳴したのか、「ありがとう!皆んなの声、届いたよ!」とAYAME。メンバーとオーディエンスの関係に隔たりなど最初からなく、同じ船に乗った仲間(crew)としてライブはスタートしていたのかもれない。そんな感覚を呼び起こしてくれたのが、この『かくれんぼ』だ。

コロナの逆境すらも追い風に変えてきたバンドの底力

ここで、100円ライブ最後のMCに突入。3年前にAliAの活動をスタートするも、ライブに力を入れようと歩み出した直後コロナの影響でその足をストップせざるを得なかった過去に対し、「なんでこんなことになるんだよ、私たちが何をしたっていうんだ、何も悪いことはしてないじゃないか。なんて、悔しい気持ちでいっぱいでした。」と、当時のやるせない気持ちを語ったAYAME。「今回の100円ライブも来年開催のZeppツアーも、自分たちで色んな人に頭を下げたから叶えられたこと。結成から年数の浅いバンドだから汚い言葉もたくさん浴びてきたし、悔しい思いばかりしてきました。そんな状況でも、こうしてAliAの音楽に興味を持って、好きでいてくれる人がいる。それが支え。皆んながいるから、音楽を続けられてる。」「AliAは自分たちの信じることだけに真っ直ぐ向かっていきたい。どうか好きなことを好きでいられるその気持ちだけは、大切にしてください。好きなことへのこだわりは、諦めないでほしい。AliAと共に生きたい。そう感じてくれたら嬉しいです。AliAの音が鳴り止まない限り、私たちは前に進み続けます。ありがとうございました。またライブでお会いしましょう!」と、ありったけの想いをオーディエンスに伝え尽くした。これら一連のラストMCにはAYAMEの全て、いや、AliAの音楽に懸ける想い全てが詰まっていた。「最後に大切な曲やります。」と、先ほどのMCで語っていたファンへの想いをそのまま形にしたような『Me』を披露し、ホール全体は温かな空気感に包まれた。最後はメンバー全員がステージ前方に一列に並び、リーダーERENの「今日は本当にありがとうございました!」という感謝の言葉に合わせ一斉にお辞儀をし、確かな手応えを感じた様子で手を振りながら100円ライブのステージを後にした。

最後に

「来年の2月のZeppツアーを絶対に成功させたい」

その想いから始まり、信頼の置けるストリングスチームと大勢のオーディエンスを迎えて敢行された前代未聞の『AliA100円ライブ』

ラストのMCで語っていた「趣味も性格も音楽の好みも違うバラバラな6人が集まったバンドだけど、気がついたら大きな力になっていた」という言葉。AliAの鳴らす音の根底にある信念は、彼女たちが歩んできたストーリーなしでは語ることはできない。きっとこれからも果てしなく続くであろう”6人の主人公”によるストーリーを、同じ歩幅で追っていきたい。また日々進化を続けるAliAの音楽を、リアルタイムで聴き続けたい。100円ライブを終えた彼らを待ち受ける次の勝負は、来年2月開催のZeppツアーだ。

※MCでメンバーが語っていた言葉をレポ中で記載していますが、多少のニュアンス違いはあるかと思います。ご了承ください。

セットリスト

M1. 100年に一度のこの夜に

M2. ノスタルジア

M3. ケセラセラ

M4. ユートピア

M5. SLIDE SUNSET

M6. 翼が生えたなら

M7. impulse

M8. eye

M9. あかり

M10. かくれんぼ

M11. Me

Zeppツアー『AliAliVe 2022 -Me-』開催

AliA史上初のZeppツアー『AliAliVe 2022 -Me-』は、2/12(土)の北海道・Zepp Sapporo公演を皮切りに開催される。

『100円ライブ』を味わい尽くしたばかりではあるが、時間をすっ飛ばして、今すぐにでもAliAの音楽をあのキャパ、あの場所で味わいたくてしょうがない。

はやる気持ちが抑えられない。そんな気分。AliAに会いたい。

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