【ライブレポート】新代田FEVER『BIRTH Vol.2』|ジュウ/リスキーシフト/Conton Candy

ライブレポート

京王井の頭線で下北沢から一駅の新代田駅より徒歩1分。非常に好立地な場所に佇むライブハウス・新代田FEVERにて、ライブイベント『BIRTH Vol.2』が開催された。本公演に集結したのはジュウ、リスキーシフト、Conton Candy。今後の飛躍が期待される気鋭のバンド3組だ。

コロナ対策にフロアの床には白いビニールテープで立ち位置が区切られ、続々と訪れる観客たちは手指のアルコール消毒も万全に各々好みの立ち位置を陣取る。

年間で最も寒い日とされる大寒(1月20日)を過ぎるもまだまだ厳しい寒さが続く1月末、3組のバンドがステージ上で繰り広げた演奏は、冬の寒さを忘れてしまうほどに白熱したものだった。

トップバッター:ジュウ

北海道は釧路発の4人組バンド・ジュウが、この日のトップバッターとして定刻通りに堂々登場。昨年の6月に「タカナミ」から「ジュウ」に改名し、気持ち新たに新年を突き進み続ける彼らは、「BIRTH Vol.2開幕ですよろしく!」と髙浪(Vo)の気合いに満ちた遠吠えを合図に、『鉄砲』を披露。続けて『TNK』を投下し、畳み掛けるように披露した『金夜の社会』のサビでは、観客の拳が突き上げられた。

彼らのライブアンセム『火日東京』で爆音を響かせフロア全域の士気を高めると、高浪(Vo)は「バンドやる上で決めてることがあります」とMC。「俺らにとって、SNSでインフルエンサーとかアイドルだとかが引用して呟く一言と、ライブを見に来てくれたお客さんが言ってくれる一言の重みは同じ。フォロワーの数だとかいいねの数とか、数字に囚われるバンドにはなりたくない。」と語る高浪(Vo)の出立ちは、誰もが憧れる往年のロックスターの姿に重なる。本日のハイライトは間違いなくこのMCだ。

「これ言ってからライブやりたかった…!マジで。」と持ち歌のタイトルに巧みに繋げ、キラーチューン『マジで』を堂々演奏し切り、「ライブハウスに来てくれる皆んなの顔を思って作った曲」と披露した『You You You』では、音を通じてオーディエンス一人ひとりと真摯に向き合った。「一番大事に思ってる場所(FEVER)に呼んでもらえて嬉しい。これからも変わらずここを大事に活動していきたい。」とライブハウスへの想いを語り尽くし感謝を述べ、『霧のかかる』、『平成』と畳み掛ける。

落ち着きのあるテンポで最後に披露した『青少年』では改めて「フォロワーとか全然知らねえよマジで」と毒を吐き、事務所にも所属しない自由なスタイルを貫くバンドとしてのブレない在り方を示し、確かに爪痕を残していた。

2番手:リスキーシフト

ジュウがステージを後にしたおよそ十数分後、リスキーシフトのメンバーが登場。なかむらともみ(Vo/Gt)が「リスキーシフトですよろしく!」と開幕宣言をし、『モンタージュ』、『2002』を初っ端から轟音で奏でていく。ドラムスティックの軽快な2カウントから披露された『MiMiC』では、グルーヴィーなベースラインの艶やかさに魅了される。

続く『メタスラ』では、赤く点滅を繰り返すド派手な照明演出の元でなかむらともみ(Vo/Gt)とアダチ(Gt)が向き合ってギターを共鳴させるプレイも見られた。ここで一度、なかむらともみ(Vo/Gt)が「改めましてリスキーシフトです。最後まで楽しんでいってください。」と一言。横揺れを誘うリズムで『チルド』を投下し、エモーショナルな雰囲気を作り出した。

続けて披露したのは、浮遊感のあるサウンドからスタートしたかと思いきや、一番のサビでサウンドが急旋回し、疾走感のあるギターロックに変貌を遂げていく『海抜30m』。淡いブルーのライティングが、楽曲の滑らかな音像によくマッチしていた。

オーディエンスに感謝の一言を述べ、最後に『限界少女』を投下すると、肩を揺らし「この曲を待ってた」と言わんばかりの盛り上がりを見せるオーディエンス。拳が勢いよく突き上がる光景を眼前に、リスキーシフトの4人は余力を残さず出せる力を限界まで発揮し、ステージを後にした。

トリ:Conton Candy

『BIRTH Vol.2』のトリを飾ったのは、今勢いのあるスリーピースガールズバンド・Conton Candy(コントン キャンディ)。各々が音出しやストレッチを終え、紬衣(Vo/Gt)が声高らかに「Conton Candyです!よろしく!」と発するのを合図に、1曲目『濁り』の演奏をスタートさせる。曲中盤で叫ぶように歌う紬衣(Vo/Gt)の声や息の合った美しいコーラスワークが、耳を刺激した。両足の屈伸運動をメトロノーム替わりのようにベースを弾くふうか(Ba)の柔かな表情からは、ライブを全力で楽しんでいる様子が伝わってくる。

歌詞に少しばかりアレンジを加えて歌った『ラストソング』では、リズミカルなビートに合わせてオーディエンスの手拍子が起こり、続く『envy』では、メンバー同士が時折顔を見合わせ笑顔を振りまきながら、中盤で急激に変化していくリズムの緩急を上手く乗りこなしていた。ここで紬衣(Vo/Gt)が「もし私に好きな人ができたときは、ミルクみたいに(好きな)あなたに染まりたいと思います。『milk』という曲を。」と印象的に歌い出したのは、ミディアムテンポなナンバー『milk』。夕焼け空のような景色が浮かんでくるエモーショナルなメロディーと、豊かに響き合うコーラスの相性は抜群である。

「次はお別れの歌を。」と一言放ち披露した『WAY BACK HOME』では、バラードっぽく始まったのも束の間、中盤からアップテンポに変化していく。3曲目『envy』でも感じたことではあるが、Conton Candyはリズムの緩急の乗りこなし方が本当に上手い。と、ここでMC。2月6日に”でらロック”に初出演すること、初の名古屋訪問となることを明かし、メンバーたちはまだあどけない感じの残るヘラヘラしたどこか憎めない無邪気さで「名古屋行ったら何食べたい?」など名古屋の食べ物まわりのトークで盛り上がっていた。続けて「ジュウのMCに感動して。インフルエンサーとかの言葉と、観に来てくれるお客さんの言葉の重みは同じと言ってたのが、すごく心に響きました。」と、共演者に敬意を示す紬衣(Vo/Gt)。

「ここで聴いてくれる皆さんのために歌います。皆さんも、心がドキドキしたら手をあげてみてください!」とオーディエンスに投げかけ、『102号室』を披露する。正確なリズム隊の安定感に身を任せ、紬衣(Vo/Gt)は堂々と突き抜ける歌声をフロアに響かせて、観客を魅了する。最後の歌詞《そばに居てくれてありがとね》を歌い切った後、「ありがとう!」とオーディエンスに向けて声高に感謝を伝える様子が印象的だった。

次が最後の曲であることを告げ、「ラスト1曲!ここに全てを込めて帰ります!ありがとう!」と演奏をスタートさせたのは、代表曲『ロングスカートは靡いて』だ。痛快なエイトビートで曲が始まると同時に、手拍子が巻き起こる。Bメロで豊かに響き合うコーラスワークや大サビ前のブレイクなど随所にアクセントが散りばめられ、少しアレンジを加えたサビの歌唱、紬衣(Vo/Gt)の放つ真っ直ぐな歌声、一体感のあるアンサンブル。フックとなるポイントを挙げるとキリがないが、兎にも角にも彼女たちの演奏力は、若干19歳のそれとは思えない圧巻なものだった。

彼女たちがステージから姿を消した十数秒後。観客の手拍子がフロアに鳴り響くが、残念ながら時間の都合上でアンコールはお預けに。「もう1曲!」と懇願したくなる気持ちをグッと堪えたのは、観客だけでなく、彼女たちも同じだったに違いない。

まとめ

初めて訪れた新代田FEVER、いいライブハウスだったなー、と。こじんまりとしてるけど、人肌に似た温かみがあって。

こんな居心地の良い空間で、個人的に注目してる3組のライブを観れて本当に良かった。新代田FEVERに幸あれ。

セットリスト

ジュウ

M1. 鉄砲

M2. TNK

M3. 金夜の社会

M4. 火日東京

M5. マジで

M6. You You You

M7. 霧のかかる

M8. 平成

M9. 青少年

リスキーシフト

Conton Candy

M1. 濁り

M2. ラストソング

M3. envy

M4. milk

M5. WAY BACK HOME

M6. 102号室

M7. ロングスカートは靡いて

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