【ライブレポート】Cody・Lee(李)  @LIQUIDROOM

ライブレポート

バンドのメジャーデビュー発表の瞬間は、いつだってドラマチックに訪れる。

3月14日、恵比寿にあるライブハウスLIQUIDROOMにて、そのドラマを目撃した。5人組バンドCody・Lee(李)が、大勢の観客の前でメジャーデビューを正式に発表。「Cody・Lee(李)の昔から今までを繋ぐ総集編みたいなライブにしたい」と響(Vo.)が語っていた通り、新旧入り乱れる計17曲(アンコール含む)のフルボリュームなライブが繰り広げられた。

Cody・Lee(李)の昔から今までを繋ぐ総集編

客寄せBGMに流れていたジュディマリの『オーバードライブ』が止まり照明が落ちると、SEとともに5人がステージ上に姿を現す。バックドロップには「李」の文字がネオンのように燦々と光を放っていた。「Cody・Lee(李)です、よろしく」と響が開演の挨拶をし、1曲目『drizzle』の演奏をスタート。アウトロ前に「今までで一番良いギター!」と響が叫び、その後高速な指さばきでギターの轟音をかき鳴らす力毅(Gt.)の姿に釘付けになる。続く『トゥートルーズ』では浮遊感のあるエレクトロサウンドでオーディエンスの肩を弾ませ、『キャスパー』に繋ぐと響と尾崎リノはギターを下ろし、ボーカルに専念する形に切り替えていく。『s.o.r.a.』まで同様のスタイルで披露すると、「Cody・Lee(李)、リキッドルームへようこそ!」とMC。「今日はCody・Lee(李)の昔から今までを繋ぐ総集編みたいなライブにしたいと思ってる」と語り、スタートさせたのは『東京』。響と尾崎リノが再びギターを持ち、緩やかなギターサウンドを響かせた。続いて尾崎にスポットライトが当てられ『異星人と熱帯夜』を、サビのフレーズをライブアレンジでスタートさせると、照明がパッと明るくなり、浮遊感のあるサイケなサウンドをフロア全体に染み渡らせる。間奏ではエフェクトがかったドリーミーなギターフレーズが回遊し、空中浮遊しているかのような感覚に襲われる。「私たちは今日この1日を一番ワクワクして迎えています」と響。その言葉通りに、『WKWK』のイントロをパワフルな演奏でスタートさせた。赤と青のライトが激しく交錯し点滅するライティングの力強さを誇示し、力毅がステージ前方で前のめりになって自慢のギターをかき鳴らす。先ほどまでの浮遊感あるサウンドはそぎ落とし、ただ真っ直ぐにパワフルな音像で魅せていた。

「ベース、ニシマケイ!」と響の掛け声を合図に、『悶々』のイントロをグルーヴィーなベースラインで奏でるニシマケイ(Ba.)。とてつもないグルーヴの遠心力で、両足が宙に浮きそうになる。音源だと響とハモる尾崎リノのパート《超えていけ妄想》をライブアレンジでソロで歌うなど、ライブならではの歌唱で魅せていく。「しばらくやってないですね、この曲は。皆様もぜひ、夏を感じていただけたらと思います」と曲フリを携えて披露したのは、『江ノ島電鉄』。Aメロでは手拍子が沸き起こり、大サビでは原(Dr.)のドラムが一層力強さを増していく。まるで江ノ電を回遊しているかのような気分に誘われた。観客の目に夏の風景を映した後は、「新曲やります」と響。シリアスなピアノの導入から始まった新曲は、随所でピアノの音を挟み込むアレンジが印象的であった。『LOVE SONG』でノスタルジックな音風景を描くと、「僕たちは色んな想いをもってこのライブに臨んでいます」とMC。自転車でLIQUIDROOMまで来たという響は、「今日自転車でここに来る途中、上京した日の匂いと同じ匂いがしました。今日のリキッドの景色が、僕が上京した日の匂いです(笑) 上京してからの歌を歌います」ーー。そう言って披露した「春」は尾崎リノのボーカルから始まり、ピンクを基調とした照明、ピアノの音が溶け合って春ならではのふわりと柔らかい季節感をイメージさせる。クリーンな音で響くギターサウンドがメイクする音像は、春、暖かな或る一日の始まりを予感させていた。アウトロでコーラスが豊かに響き合って曲が終わると、間髪入れずに「しろくならない」に繋ぎ、季節が「春」から「冬」へと急旋回をみせる。響と尾崎でハモる所を尾崎のみで歌うアレンジが再び見られた。

「早いもんで、次が最後の曲です」と響。本編最後に彼らの代名詞ともいえる『我愛你』をサイケな空間で披露し、響とニシマケイが向かい合う形での演奏もみられた。リキッドの空間全体に温かな拍手が鳴り響き、彼らの勇姿を称えているようだった。

迎えたアンコールでは結成した2018年8月20日を振り返り、「色んな出来事があって、今日に繋がってます。ここで今日の先に繋ぐ、重大発表があります!」と響が声を大にする。その後一呼吸置いて放ったセリフは、リキッドの空気感をガラッと変えてしまった。「我々Cody・Lee(李)は、この度メジャーデビューします!」ーー。ファンに衝撃が走る。胸も踊る。メジャーデビューの発表は、いつだってドラマだ。こうした場面に巡り会えたのも、何かの偶然に過ぎない。我々は、ドラマを目撃した。メンバーが一人ひとりメジャーデビューが決定した今感じることを語っていたけれど、「楽しくやってたら、気づいたらこうなってました。メジャーデビューするのはこの5人なら必然だった気がしてます。」そう原が語っていたのが最も印象深く残っている。その後響が小学校の卒業文集を開き朗読を終えた後、力強く両手を突き上げ「夢叶った!!」と語っていたのがハイライト。こっちまで感情が昂り、嬉しくなり感極まって泣きそうになった。


新曲の『世田谷代田』を披露し、「これまでの僕を支えてくれた、大切な故郷の曲をやって帰ります」と披露した『桜町』では、このバンドは誰1人欠けてはならないということを再確認できたし、力毅のギターはどこまでも我を貫いてフロア全域に轟いていた。最後にパンクロック魂を炸裂させた『When I was city boy』を圧巻のライブパフォーマンスで披露すると、ステージ上で5人揃って深々とお辞儀をし、ステージを後にした。バックドロップに掲げられた「李」の光は赤々と存在感を放ち、彼らの今後歩むであろう奇想天外な道のりを表しているようだった。

セットリスト

M1.drizzle

M2.トゥートルズ

M3.キャスパー

M4.s.o.r.a

M5.東京

M6.異星人と熱帯夜

M7.WKWK

M8.悶々

M9.江ノ島電鉄

M10.新曲

M11.LOVE SONG

M12.春

M13.しろくならない

M14.我愛你

Enc1.世田谷代田

Enc2.桜町

Enc3.When I was city boy

コメント

タイトルとURLをコピーしました