【ライブレポート】ハンブレッダーズ|10/24(日) 『秋のグーパンまつり2021』@ 1000 CLUB

ライブレポート

先月、Zepp Tokyoでのワンマンライブを満員にしてみせたハンブレッダーズ。彼らによるツーマンツアー『秋のグーパンまつり2021』の横浜公演に参加してきたので、レポートする。

はじめに

ハンブレッダーズが舞い降りたライブ会場は、横浜駅西口から徒歩5分の場所に位置する1000 CLUBというライブハウス。昨年の7月に開業した、創設間もない綺麗なライブハウスだ。キャパは1000人前後で、後列で立ち見していてもステージがよく見える。

対バン相手は、ネクライトーキー。ボーカル・もっさのキュートでパワフルな歌声が特徴的なバンドだ。元ボカロPでギター担当の朝日が紡ぎ出す一癖、二癖いや何癖もあるサウンドメイクに惹かれる。

ここで豆知識だが、ハンブレッダーズのでらしは元々、ニコニコ動画でボカロP・朝日が作っていた曲を狂ったように好んで聴いていたらしい。でらしにとって朝日は、神様的存在なのだ。一見共通項の見えてこない2組のバンドであるが、このような縁だったり、過去に名古屋で行ったライブイベントで共演したり、学園祭ライブでも共に演奏したことがあるらしい。(ハンブレッダーズが今回MCで語っていたこと)

先攻:ネクライトーキー

そんなこんなで開演時間の18時を迎えたわけだが、ステージに立ち先陣を切ったのは、ゲスト側のネクライトーキー。バンドも色を体現するかのような愉快なSEとともにメンバーが登場。

オーディエンスに軽く挨拶を済ませると、5人は呼吸を整え『レイニーレイニー』を披露する。1曲目から意表を突くような選曲にプチパニック状態になりながらも、徐々に正気を取り戻しつつあるところに2曲目『はよファズ踏めや』のイントロが封切られる。終盤にかけて圧を増す掛け声「だらだらだらだ!」に合わせ、5人のアンサンブルは破壊的でよりヘビーなサウンドへと舵を切っていく。ひときわ朝日のギターが暴力的なまでに歪みを効かせるのだが、「エレキギターって、なんかカッコいい!」という無垢な童心に帰れたような気がした。その後ドラゴンボールの『摩訶不思議アドベンチャー』を連想してしまうイントロから『北上のススメ』がポップに打ち出され、『ぽんぽこ節』へ繋ぐ。<ヒトの分際で偉そうに!>と、叫び歌うもっさの表情は、どの瞬間を切り取っても楽しさに満ちていて、逞しくもある。5曲目にはエモーショナルなナンバー『続・かえるくんの冒険』をドロップ。もっさの伸びやかなハイトーンボイスが体に染み渡っていく感覚が、5分間を支配していく。

5曲目を壮大に歌い切ると、MCパートへ突入。ハンブレッダーズというバンドに対するイメージを、各々が語っていく。そこまで深い接点のない両者ということもあり、何ともいえない距離感を感じる気遣いじみた言葉のチョイスも、生々しくて良い。朝日がハンブレッダーズを「自分たちとは違ってメロディーの力で勝負してるかっこいいバンド」と称賛していたのが、印象的であった。MCが落ち着きを得たところに、もっさが「ネクライトーキーでした!またどこかでお会いしましょう!」と挨拶をし披露した6曲目は、『気になっていく』、、! これだ。これがどうしても聴きたかったのだ。今年リリースした最新アルバム『FREAK』の1曲目を飾る曲にして、アルバム1のマイフェイバリットソング。軽快なテンポで放たれる<曇天の午後なら 窓からしかめ面覗かせ「ツイてないな」>という歌い出しに、両肩がこれまで以上の震えを見せ、揺れ出す。

ただこの6曲目は、怒涛のラストスパートの序章にすぎない。ネクライトーキーの真の本気はここからだ。『気になっていく』に続いて、『きらいな人』をドロップ。ライブがラストスパートへ駆け行く過程で、5人のアンサンブルはさらに洗練され、ネクラ・サウンドを放出していく。間髪入れずにキラーチューン『こんがらがった』を披露し、オーディエンスのボルテージは最高潮に。ついにライブの幕引きかと思えば、これで終わらずラスト9曲目に『ティーンネイジ・ネクラポップ』を披露。この怒涛の4曲ラッシュをもって、ネクライトーキーのステージはフィナーレを迎え、ハンブレッダーズへと襷をつないだ。

後攻:ハンブレッダーズ

ネクライトーキーが抉るように爪痕を残し、若干5分ほどの換気タイムを設けたあと、満を持してハンブレッダーズがSEとともにステージに登場。先月キャパ2000人越えを誇るZeppTokyoでのライブをやり切った彼らからは、余裕を滲ませた表情が見てとれる。今回のサポートギターは、もはや顔馴染みになりつつあるうきだ。彼のギターはめちゃくちゃに上手い。

ボーカル・ムツムロの「スクールカースト最底辺から青春を歌いに来ました、ハンブレッダーズですどうぞよろしく」という自己紹介とともに繰り出した1曲目は、『ユースレスマシン』だ。初っ端から、エンジン出力全開である。でらし(Ba.)はステージを縦横無尽に駆けながらベースを刻み、オーディエンスを虜にする。エンジン出力を保ったまま、続いて『DAY DREAM BEAS』を繰り出す。軽妙に韻踏まれたキャッチーなサビがムツムロの伸びやかな歌唱に乗り、踊るように耳に伝播していく感覚が、生のライブを実感させる。でらしとうきのじゃれ合うかのような掛け合いも、2曲目にしてすでに絶好調だ。

『ユアペース』、『都会に憧れて』をポップに歌い上げ、5曲目『COLORS』に繋ぐ。虹を連想させるカラフルな照明演出がステージを華やかに彩りながら、疾走感のあるバンドアンサンブルは加速を続けていく。その加速に共鳴するかのように、オーディエンスは拳を力強く頭上に突き上げる。続いて、ムツムロの曲フリをきっかけに『フェイバリットソング』を披露。でらしが急にステージ上を走り回り始めたかと思えば、それに続けとばかりにうきも走り回り、自由奔放にサウンドを打ち鳴らす。ステージ上でここまで”全力の遊び”を披露できるのは、流石といった感じだ。この『フェイバリットソング』は、彼らにとっての超・フェイバリットソングとして定着しているのであろう。

ここで一旦MCを挟み、締めにムツムロが「踊るなり何なり、各々自由に楽しんで」と一言。ラップのエッセンスが詰め込まれた曲『常識の範疇』のミディアムテンポなイントロが奏でられると、会場全体はダンサブルな雰囲気に包まれていく。ムツムロは歌い方にアレンジを効かせている様子で、まるでラッパーかのように言葉を一言一言踏みしめ歌う。ダンスフロアに早変わりしたところで次に耳に入ってきたのは、落ち着きのある優しいギターリフ。『付き合ってないけどお互いに』のイントロだ。これは中々のレア曲ではないか。ピュアな恋愛ソングで気分になったところで、一旦MCに。ムツムロが来月発売のアルバム『ギター』の良さを熱弁し、その熱量に思わず笑ってしまいそうになりながらMCを楽しんでいると、締めにムツムロ「ギターの中から新曲やります」と一言。『プロポーズ』が披露され、先ほどから続くピュアな恋愛ソングの持つ引力により、多幸感で全身が満たされていくのを感じる。

ムツムロの「俺らがいつか見開きページに載るその日まで…!」という言葉を合図に、『見開きページ』をドロップ。Cメロ終盤<大好きなものに大好きって言わなくちゃ!!>とメンバーによるユニゾンにハッとさせられていると、間もなく『弱者の為の騒音を』の歪みの効いたイントロにバトンが繋がれ、彼らのアンサンブルはより強固なものになっていく。うきの巧みなギター捌き、でらしのベース、木島のドラムはもちろん、ムツムロの声量はピークに達する。オーディエンスもそれに応えるかのように、天井を突き破る勢いで拳を高く突き上げる。一体感という名の情熱に満ちたライブハウスは、ついに完全にハンブレッダーズと観客だけのものとなってしまった。<頭の悪いギターで鳴らしてやるよ>と歌い終わると、本編最後となる『ワールドイズマイン』をドロップ。グルーヴの力でオーディエンスを熱狂の渦に閉じ込め、<この世界はきっと 僕らのものなのさ>と閉幕宣言をし、漫画の主人公のように颯爽とステージを後にした。

アンコールに応え早々とメンバーが再登場し、アンコール1曲目には『銀河高速』を披露。彼らのアンサンブルは、本編を終えてなおまだまだ衰える様子がない。ムツムロの表情は、本日一日を通して感じていたが、いつになく楽しそうだ。正真正銘最後の曲となる『ライブハウスで会おうぜ』を披露し、アンコールは終了。ハンブレッダーズの音楽は、新興ライブハウス1000 CLUBに間違いなく深く刻まれた。

ライブのまとめ

実力派若手バンド同士のハンブレッダーズとネクラトーキー。今回の対バンで両者のパワフルなバンドサウンドと確かな演奏力を見せつけ合い、お互いバンドの成長につながる良い刺激になったのではないだろうか。

セットリスト(ネクライトーキー)
M1. レイニーレイニー
M2. はよファズ踏めや
M3. 北上のススメ
M4. ぽんぽこ節
M5. 続・かえるくんの冒険
M6. 気になっていく
M7. きらいな人
M8. こんがらがった!
M9. ティーンエイジ・ネクラポップ

セットリスト(ハンブレッダーズ)
M1. ユースレスマシン
M2. DAY DREAM BEATS
M3. ユアペース
M4. 都会に憧れて
M5. COLORS
M6. フェイバリットソング
M7. 常識の範疇
M8. 付き合ってないけどお互いに
M9. プロポーズ
M10. 見開きページ
M11. 弱者の為の騒音を
M12. ワールドイズマイン
EN1. 銀河高速
EN2. ライブハウスで会おうぜ

コメント

タイトルとURLをコピーしました