【ライブレポート】櫻坂46|3列目メンバー『BACKS LIVE!!』@ 舞浜アンフィシアター

ライブレポート

2021年6月17日、櫻坂46がグループ初となるフォーメーション三列目メンバーだけでのワンマンライブを、舞浜アンフィシアターにて開催した。

私たちで、櫻坂46を、強くする。

固い決意の込められたキャッチコピーのもと行われた、櫻坂46のフォーメーション三列目メンバーによる『BACKS LIVE!!』

コロナ禍でもファンからメンバーに声援代わりの「音」を送れるようにと、全座席に2本のスティックバルーンを配置する粋な計らいも見られた。

欅坂46が櫻坂46へと生まれ変わってから、初めての有観客ライブ。
彼女たちもファンも、特別な想いを持って今回の『BACKS LIVE!!』に臨んでいる。
今回のライブの特筆すべき点は、センターが立候補生であること。
メンバーそれぞれひとり一曲、センターに立ってパフォーマンスしたい曲を選び、披露する。

このライブで、彼女たちの確かな手応えと成長を目の当たりにした。

舞浜アンフィシアターでの開催

『BACKS LIVE!!』が行われたのは舞浜アンフィシアター。
ご存知ディズニーリゾートの最寄駅、「舞浜」の地に存在する会場だ。
この”アンフィシアター”とは、”半円形のステージと階段上の客席をもつ劇場”のことを指すらしい。

舞浜アンフィシアターの特徴は、なんといってもステージまでの距離感。
キャパシティは2階席も合わせて2170人とそこまで多くなく、後列であろうと近い距離感で舞台を堪能できる。

普段はアーティストのライブがこの会場で行われたことはあまりない。
宝塚などの舞台演劇の会場として使われ、音響にも座席にもこだわりの感じられる、極上のエンタテインメント空間だ。

この極上のエンタテインメント空間で、『BACKS LIVE!!』は行われた。
記憶を甦らせ、一曲目から振り返っていく。

ライブ前半戦

一曲目を華々しく飾ったのは、『Nobody’s fault』。

欅坂から櫻坂へ生まれ変わり、最初のシングル表題曲。
Nobody’s faultは、「誰のせいでもない」という意味を表している。
誰のせいでもない、他人のせいにするな、自分で道を切り拓け。
そんな力強いメッセージの込められた楽曲だ。

ライブの始まりを告げる『Nobody’s fault』のイントロが流れた瞬間
会場全体の雰囲気は櫻一色に染まった。
ステージ中央からメンバーがゆっくりと競り上がり、フォーメーションを組む。


この世界を変えようなんて
自惚(うぬぼ)れてんじゃねえよ

Nobody’s fault / 櫻坂46


力強い歌い出しに、思わず息を呑む。
この曲の醍醐味は、だれかを説き伏せるような強い口調で歌詞が構成されているところ。

Bメロ①


自分が吐いた息と嘘で
締め切った窓は曇ってるぜ
心の空気を入れ替えろ
それでも夢を見たいなら

Nobody’s fault / 櫻坂46


サビ①


No! No! No! 他人のせいにするな
鏡に映ったおまえは誰だ?
勝手に絶望してるのは
信念がないからだってもう気づけ!

Nobody’s fault / 櫻坂46

これらの歌詞を一読するだけでも、まるで自分自身が諭されているかのような気分にさせられる。

ステージで一番目を引いたのは、センターを務めた遠藤光莉(ひかり)の表現力。
彼女は新二期生ながら、ダンスのキレが半端ではないのだ。
ダンスの細かい動き一つ一つに、魂が宿っているのが感じられる。
この『Nobody’s fault』のステージは、センターを中心とし、歌詞の力強さに負けないまさに「圧巻」のステージであった。


『Nobody’s fault』披露後、失恋心をプラスチックの脆弱さに例えた楽曲『Plastic regret』に突入。
センターを務めたのは、一期生の原田葵。
楽曲の世界観が現れたダンスが印象に残るパフォーマンスであった。

『Plastic regret』が終わると、さっそく一度目のダンストラックパートへ。
ダンストラックでは、彼女たちの表現者としての魅力が垣間見えた。

櫻坂46の強みは、欅坂46時代から受け継ぐメンバー各々の表現者としてのスピリット。
他のアイドルグループにはない、幅の広い表現力を持っている。

「アイドルのダンスはただそこらのお遊戯とは違う。本気と書いてマジのダンスだ。」
と説き伏せられているかのように、彼女たちのダンス表現にひたすら魅せられる時間が流れた。


ダンストラックを堪能し終えると、昭和歌謡の香り漂う楽曲「半信半疑」に突入。
センターを務めたのは、二期生の松田里奈。
会場全体のムードはまた異なる様相を見せる。


そんなムードの中、続けて披露されたのは『Microscope』。
理科の授業中に抱いた恋心を歌った楽曲。
センターを務めたのは、新二期生の幸阪茉莉乃。

1曲前の『半信半疑』とは真反対の、ポップで可愛らしい王道アイドルソングといった感じ。
思わず口ずさんでしまいたくなるような楽曲で、なかなか中毒性がある。
パフォーマンス中の、メンバー各々の笑顔が印象的であった。

その甘く芳醇なムードのまま、『偶然の答え』のイントロに突入。
この曲のイントロは、何度聞いても素晴らしい。
乃木坂46の楽曲『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』のイントロがよく”神イントロ”と呼ばれているが、この『偶然の答え』のイントロも、まさしく”神イントロ”である。

センターを務めたのは、二期生の関有美子。
彼女の繊細で大人びた雰囲気が、楽曲の世界観と完璧にマッチ。
アウトロがなく、突然スッ…と終わりを迎えるのも、楽曲に込められた「儚さ」を表す手法として、しっかりとはたらいているように思える。


『偶然の答え』が全方位に儚さを残すと、『君と僕と洗濯物』のポップなイントロが流れ始める。
気になる異性が初めて家に訪ねてきたときの、照れ臭い気持ちを歌った楽曲。
センターを務めたのは、一期生の渡辺梨加。
アイドルソングのエッセンスが盛りに盛られた楽曲だ。

サビの歌詞にフォーカスしてみる。


君が干してくれた洗濯物
嬉しいけれど恥ずかしくて
もうそんなのいいよなんて
ちょっとぶっきらぼうに
言ってしまってごめん

君と僕と洗濯物 / 櫻坂46


<嬉しいけれど><そんなのいいよ><ぶっきらぼうに>
照れ隠しが下手な主人公のキャラクターが歌詞から容易に想像できる。
この青青しい世界観が、ステージ上のパフォーマンスでうまく表現されていた。


MC、二度目のダンストラックを挟み、続いて『ブルームーンキス』が披露される。
センターを務めたのは、新二期生の守屋麗奈。

この曲の特筆すべき点は、なんといってもサビ前に訪れる静寂。
1番のサビ前になると一瞬の静寂が訪れ、「あ、キスしちゃった」というセリフ。
この一瞬で、会場全体は楽曲の独特な世界観に覆われた。

「静」と「動」
この緩急が肌で感じ取れるステージであった。


独特な世界観に没入した余韻を残しながら、『最終の地下鉄に乗って』のイントロが流れ始める。
変わり映えしない日常に対し疑問を感じる人の心を表した楽曲。
センターを務めたのは、1期生の上村莉菜。

後のトークで上村は、「自分も昔この曲と同じようなことを感じていた」と、一言。
誰もが一度は感じたことのある疑問なのではないだろうか。

サラリーマンであれば、毎日決まりきった時間に出勤し、決まりきった仕事をし、同じ電車に乗って帰路に着く。
そんな日常に疑問を抱いてる人には、ぜひ一度聞いていただきたい。
新たな発見があるかもしれない。


次に披露されたのは、『思ったよりも寂しくない』。
この楽曲には「人生は一度きり。好きな方に向かってただ生きよう」というメッセージが込められている。
センターを務めたのは、一期生の守屋茜。

楽曲に込められたメッセージを全身全霊で伝えてくるようなパワフルさを、ダンスパフォーマンスに感じた。
この楽曲の持つ祝祭感が、会場の一体感を強めていく。


ここで一旦MCを挟み、三度目のダンストラックへ。
ダンストラックで会場のボルテージが高まりを見せ、そのまま怒涛のライブ後半戦に突入する。

ライブ後半戦

後半戦の第一曲目として披露されたのは、『それが愛なのね』。
いわゆるダメ男について歌った楽曲である。
センターは二期生の武元唯衣。

楽曲のテーマ通り、アソビに溢れたディスコ・ナンバーといった感じ。
アイドルという枠にハマらない粋なパフォーマンスを見ることができた。

ディスコにいるかのような雰囲気を醸し出す音の余韻に浸りながら、『なぜ恋をしてこなかったのだろう』の軽快なイントロを迎える。
センターを務めたのは、新2期生の大園玲。

アップテンポで軽快なダンス・ナンバーのため、ダンスもそれ相応に高速で激しい。
櫻坂46における屈指の人気曲でもあり、周りのファンの盛り上がりをひときわ肌で感じた。


会場のボルテージが最高潮に近いところまで達し、次に迎えた楽曲は『Buddies』。
櫻坂46のファンの呼称であるBuddiesがそのままタイトルに。

壮大なサウンドに、「ファンとともに何があっても歩みを続けていく」という決意の表れを感じる。
センターは、新二期生の増本綺良。

公式YouTubeチャンネルに上がっている『Buddies』のmusic videoを見たのだが、その映像が鮮明に脳裏に浮かぶような、再現度の高い一体感のあるパフォーマンスであった。
この楽曲で、ファンと櫻坂メンバーのシンクロ率が100%を上回る。


ファンとメンバーのシンクロ率が100%となり迎えた本編最後の楽曲は、2ndシングルの『BAN』。
センターには、グループ屈指のダンスの上手さを誇る一期生の齋藤冬優花。
モニターに「私は、今日ここで生まれ変わります」という言葉が映し出され、大音量で流れる力強いイントロ。

まさにトリにふさわしい圧巻のパフォーマンスが行われた。
センターの齋藤冬優花を中心として、息の合った高難易度ダンス。
そして、今回のライブを通じて確実に成長した彼女たち全員の、自信に満ち溢れた表情。

『BACKS LIVE!!』における集大成と言える4分間を堪能することができた。


どんな状況に追い込まれても
僕は絶対BANされるものか

BAN / 櫻坂46

この最後のフレーズに、今の彼女たちの決意が詰め込まれている。

「三列目であろうとも、櫻坂46を強くするために絶対不可欠な存在になる。」
今回のライブで、彼女たちは十分その「絶対不可欠な存在」であることが証明されたのではないだろうか。


『BAN』のパフォーマンスが終わり、本編は終了。
メンバーが舞台袖へ消え、暗転するとともに、会場全体にアンコールが巻き起こる。
手に持った2本のスティックバルーンから発せられるアンコール音は、新鮮な感じがした。


先ほどBANを完璧に披露しきったメンバーがステージ上に戻り、『櫻坂の詩』を披露。
櫻坂の詩は、満開の櫻の木に思いを託す彼女たちにとって希望を表す楽曲である。
あたたかな雰囲気に包まれる会場で、櫻坂の詩を見事に歌い切った。


アンコール『櫻坂の詩』のパフォーマンス終了後、初日の公演に続きダブルアンコールが巻き起こる。
櫻坂メンバーが再びステージ上に立ち、二度目の『Buddies』を披露する運びに。
メンバーとファンの心に満開の櫻が咲き誇り、『BACKS LIVE!!』は正式に幕を閉じた。

まとめ・セットリスト

さて、ライブの振り返りも終わってしまったが
今回の櫻坂46『BACKS LIVE!!』で感じたのは、櫻坂46というグループの層の厚さ。
ありきたりな感想で申し訳ないが、これに尽きるのだ。

忘れてはならないのは、今回はフォーメーション三列目メンバーのみで行われたライブであるということ。「櫻エイト」と呼ばれる、8名のいわゆる中心メンバーは不在。

そんな状況で行われた今回の『BACKS LIVE!!』。終わってみたらどうであろうか。
すでに一人一人がグループの中心メンバーの一角を担ってもおかしくないほどの存在感、パフォーマンス力をライブで存分に発揮した。

この櫻坂46というグループ、底が知れない。

私たちで、櫻坂46を、強くする。

この決意表明通り、『BACKS LIVE!!』を通じて

私たちが、櫻坂46を、強くした。

こう言い切ってしまっても良いのではないだろうか。

今後も定期的にライブに足を運ばせていただくとしよう。

セットリスト
M1. Nobody’s fault
M2. Plastic regret
M3. 半信半疑
M4. Microscope
M5. 偶然の答え
M6. 君と僕と洗濯物
M7. ブルームーンキス
M8. 最終の地下鉄に乗って
M9. 思ったよりも寂しくない
M10. それが愛なのね
M11. なぜ 恋をしてこなかったんだろう?
M12. Buddies
M13. BAN
EN1.櫻坂の詩
EN2 (ダブルアンコール). Buddies

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