【ライブレポート】櫻坂46『1st TOUR 2021』|千穐楽で新2期生が示した櫻坂の新たな姿

ライブレポート

欅坂46から櫻坂46に生まれ変わり、初陣となる記念すべき全国ツアー『1st TOUR 2021』が、さいたまスーパーアリーナ公演3日目をもって10月31日(日)に千穐楽を迎えた。

新センター田村保乃を据え、10/13に3rdシングル『流れ弾』をリリースした勢いそのままに、今回のツアーを経て櫻坂46というグループは新たなフェーズへ帆を進める。

はじめに

今回の『1st TOUR 2021』では、9月11日の福岡公演を皮切りに愛知、大阪と日本各地を周遊し、10月29日に埼玉へ上陸。29日、30日、31日と3日連続のさいたまスーパーアリーナでの公演を完走し、ツアーは幕を閉じた。

客席には、櫻カラーを思わせる白とピンク色の、2本のスティックバルーンが用意。コロナ渦で声が出せない状況でもオーディエンスの熱気がメンバー達に伝わるように、との配慮が成されている。6月に参戦した舞浜アンフィシアターでの3列目メンバーによるライブ『BACKS LIVE!!』でも、同様のスティックバルーンが用意されていたため、使い方はすぐに理解できた。

ここからは、『1st TOUR 2021』の千穐楽で見た景色をレポートしていく。

ライブ前半戦

会場全体が一斉に暗転し、お馴染みの櫻坂46のOVERTURE、ツアーのイメージムービーが流れ出す。地鳴りのように響き高揚を誘うOvertureとともにバルーンの鳴りも次第に大きくなり、オーディエンスのボルテージも最高潮に迎えた1曲目は、3rdシングルカップリング曲『Dead end』。楽曲のセンターを務める森田ひかるがステージ下から競り上がり、それに続いてカラフルな衣装を身に纏ったメンバー達が登場。森田は1st、2ndシングルと立て続けにセンターを務めてきただけの貫禄とオーラを、身長150cmという小さな身体で早々に見せつける。

続く『Plastic regret』では、センター・藤吉花鈴が表現力豊かなダンスパフォーマンスでオーディエンスを魅了。ダンストラックを挟み披露された『半信半疑』では、四つ打ちキックが波打ち、センター・山崎天が楽曲のクールなイメージそのままに、キレのあるダンスを踊ってみせる。ここでMCパートへ移行し、「それぞれの楽曲の世界観をじっくりと味わってほしいです!」とキャプテン・菅井友香が一言。その言葉通り、各楽曲の世界観に合わせ趣向の凝らされたライブ演出やパフォーマンスに魅せられていくこととなる。

MCが明け、藤吉をセンターに据えたキュートな片思いソング『Microscope』を披露。ピタゴラスイッチをオマージュしたかのようなミュージカル風の寸劇が、オーディエンスを楽しませる。ポップで愛らしい楽曲のイメージにぴったりな演出で、舞台観劇をするかのようにステージへ視線を送るのも楽しい。オーディエンスだけでなくメンバー達も楽しそうな様子を見せ愉快に歌い終えると、続け様にポップなミディアムナンバー『君と僕と洗濯物』へ繋ぐ。センター・森田が、セットのベッドの上で目覚まし時計のアラームと格闘しながら何とか起き上がる演技から曲は始まり、まるで日常系アニメのワンシーンを見ているかのような気分になる。

可愛らしさに振り切った2曲を歌い終えダンストラックを挟むと、スクリーンに雨天の渋谷街を思わせる3D映像が投影され、リアリティあるデジタルの雨が降り、物憂げでドラマチックな雰囲気に。藤吉の姿を確認し、一呼吸置いたところに『偶然の答え』のイントロが流れ始め、<絶対運命だって 僕が確信したのは/あんな人混みの中で 君とばったり会ったこと>というフレーズを、印象的に歌い出す。この楽曲の世界観に合わせた雨天のデジタル演出は、より一層楽曲の世界観への没入感を抱かせてくる。

<不思議な力に(引き寄せられて) 自分のその秘密に気付かされる>と切なげに歌い上げると、続いて披露されたのは1stシングルカップリング曲『ブルームーンキス』。無数の星が散りばめられた夜空がスクリーンに映し出され、青く光る満月を模した球体が、ステージ上空で光を放つ。ただの青ではない、妖艶さの際立つ色味を放つ月は、楽曲にほんのり香るミステリアスな恋愛文学性を物語るかのようだ。センター・森田が1、2番サビ前で放つ「あ、キスしちゃった」「あ、こんなに好き」というキラーフレーズが、スクリーンに映し出された夜空、ステージ上空の妖艶な月と相まって独特な緊迫感を醸し出す。続く8曲目『最終の地下鉄に乗って』では、アリーナの2本の通路に電車を模したトロッコが2台用意され、1番サビ辺りでメンバー全員が乗り、センターステージへとゆっくり移動していく。

メンバーによるパフォーマンスの場所、オーディエンスの送る視線の先もセンターステージへ移り、<誰もいない世界へ行きたい/これからの人生期待なんかしてない>と歌い終えると、ダンスナンバー『思ったよりも寂しくない』を披露。センターステージ中央には、焚火用の薪を模したセットが用意されていた。センター・山崎が松明を手に取り、点火する素振りを見せ炎が上がると、ミュージックビデオ後半のキャンプファイヤシーンを彷彿とさせるような、自由気ままなダンスパフォーマンスを見せつける。再びトロッコに乗ってメインステージへ戻り、『それが愛なのね』をダンサブルに披露。続く『ソニア』では小池美波がセンターを務め、曇りのない堂々たる面持ちでしなやかに舞ってみせた。ここで2度目のMCパートを挟み、若年メンバー達による方言対決などでオーディエンスを湧かせる。

ライブ後半戦

MCパート終了後、一旦イメージムービーの上映を挟むとメンバーが再登場し、キャプテン・菅井の「まだまだ行けますよねー!」という掛け声とともに、ライブはクライマックスへ向かう。『Nobody’s fault』、『なぜ 恋をしてこなかったんだろう』と1stシングルのキラーチューンを立て続けに放出し、再びトロッコに乗りセンターステージに場所を移したところで『Buddies』を披露。櫻坂メンバーの楽しげな表情、<we are buddies,we are buddies…>というフレーズも相まってBuddies(=櫻坂46のファン)とメンバーのリンク度は100%に達し、これ以上ない多幸感に包まれる。

メインステージへ戻ると巨大な桜の木がステージ後方に現れ、強烈なアッパーチューン『BAN』を森田センターでドロップ。一矢乱れぬキレキレのダンスでオーディエンスを魅了し、曲の最後では、ド派手なスクリーン映像に乗せて<僕は絶対BANされるものか>と言葉を刻む。滞りなくサスペンスフルな撮り下ろしムービーが流れ出し、銃声とともに耳に飛び込んできたのは『流れ弾』のイントロだ。今作で初センターを務めた田村保乃は、出だしから凄まじい気迫で舞い上がるようにダンスを繰り出す。その気迫にメンバー全員が呼応し、楽曲に込められた”愛の大切さ”をパフォーマンスで伝えていく。スクリーンに映される、現代社会を風刺したオリジナルムービーが楽曲の世界観を色濃く表していたのも良い。会場がサイリウムの赤一色に染まる中、圧巻のパフォーマンスで最新シングル表題曲を披露し終えたところで、本編は終了。メンバー達は一旦ステージを後にし、アンコールへの準備を進める。

2本のスティックバルーンを打ち鳴らすアンコールの合図とともに、メンバーが再度メインステージ上に立つ。アンコール1曲目には、渡邉理佐センターの3rdシングルカップリング曲『無言の宇宙』が披露され、スクリーンに映る煌びやかな宇宙空間を模した映像、センター・渡邉のしなやかなダンスが、楽曲の持つ壮大かつピュアな世界観を加速させる。<瞼を閉じろ>というフレーズとともに迎える数秒の静寂の間、瞼を閉じると楽曲の紡ぐ物語に没入でき、しだいに視界が現実と溶け合っていく感覚が心地よい。数秒ではなく、ずっと閉じていたいとさえ思ってしまう。

最後に<僕は(僕は)君を(君を) 理由なく好きだ>と歌い上げ、ラストのMCへ。2期生・武元唯衣にマイクが渡ると、「この曲がほんとに好きなんです、ソロパートが多くて」「皆んなで助け合ってツアーを回って来た思い出が蘇ってきて…」と、涙を滲ませていたのが印象深い。涙を堪えきれなかった武元に対し、「大丈夫だよ〜」と励ますメンバー達の様子から、櫻坂46というグループに確かに存在する絆の深さが感じられた。『流れ弾』のセンターを務めた田村は、「ツアーを見届けてくれた皆さん、ありがとうございます」「これからも頑張ります」と、涙ながらに語る様子も。サプライズとして『1st YEAR ANNIVERSARY LIVE』が日本武道館で開催されることも発表され、そこがラストライブとなる渡辺梨加、守屋茜がそれぞれ卒業を前に言葉を残した。

そして最後に『櫻坂の詩』を全員で歌い、さいたまスーパーアリーナが櫻色のサイリウムカラーで染まりきったまま、櫻坂46による『1st TOUR 2021』は幕を閉じた。

まとめ:セットリスト

M1. OVERTURE

M2. Dead end

M3. Plastic regret

M4. 半信半疑

M5. Microscope

M6. 君と僕と洗濯物

M7. 偶然の答え

M8. ブルームーンキス

M9. 最終の地下鉄に乗って

M10. 思ったよりも寂しくない

M11. それが愛なのね

M12. ソニア

M13. Nobody’s fault

M14. なぜ 恋をして来なかったんだろう?

M15. Buddies

M16. BAN

M17. 流れ弾

EN1. 無言の宇宙

EN.2 櫻坂の詩

今回のライブでの個人的なMVP楽曲は、『無言の宇宙』。あれは色々と反則ではないか。

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